審査委員長 伊久哲夫
(関西部会)
全体にシートそのものはきれいにまとまっていた。ただ、A1横片面1枚という規定の中で、十分に作品をアピールできていた作品と、プレ審査の段階からあまり進化していない作品があったのは残念だ。
本コンペの特徴である「リアルサイズ」の点から、素材や寸法、仕掛けや機構を詰め、実際にプロダクトとして成り立つかどうかを追究している作品が、多く通過に至っている。
コメントセッションで垣間見られた着想や内容は素晴らしい作品が、プレゼンシートでの表現不足で意図が伝わりきらず選に漏れるという例も多々あり、大変残念に感じた。言うまでもなく、書類、図面だけの審査の場合は、指定されたシートの中で勝負しなければならない。今後最大限に自分の意図、思想、デザインをプレゼンシートの中でアピールする技術を身につけて欲しい。
原寸大モデルを制作することを念頭に置いて、「地球にやさしい」ことへのこだわりや仕掛けという観点からもう一度作品を磨き上げて頂き、2次審査(プレゼンテーション審査)では審査委員を唸らせるような発表となることを楽しみにしている。
(関東部会)
本審査では、地球にやさしい住空間・住環境づくりに向けた社会に対しての何らかの問いかけが表現されているか、また、3つのテーマをどのように掘り下げているかの視点を中心に、審査を行った。
いくつかの通過作品には、上記審査視点はよいが本コンペの特徴である「リアルサイズ」の点から、実際にプロダクトとして成立するのかと議論をよぶものもあったが、あえて1次審査では「リアルサイズ」視点を考慮しすぎない方向で審査が進められた。
全体には力作ぞろいとなっており、多くの作品が接戦の状態で、なんども全作品を審査委員が見直しながらの審査となった。
しかし、Aコースのプレ審査〜コメントセッションを経た作品の中には、うまく内容を練り上げ、審査委員に訴求力ある作品となっていたものと、逆に進化をうまくさせきれていなかった作品と大きく2極化してしまったように思われる。
また、Bコースの学校での取り組みから応募した作品には、学校の課題との調整も難しかったのか、本コンペの3つのテーマを作品に取り込めきれていない作品も多く見られたのが残念であった。
1次審査を通過した方々には、「地球にやさしい」または、3つのテーマの視点をさらに掘り下げ、どのように1/10の模型や「リアルサイズ」を表現するのかも充分に検討していただき、インパクトのある面白い作品を発表していただくことを期待したい。